感思考3つの認知と達人

未人・運動モードと達人・3ステップ認知モード


 これまで、たくみの会で学んで来たことを、私なりの理解で、認知思考循環システムということで、再構築してこれまで述べてきた。

 当初は「運動モード」と「認知モード」ということも分かるようで分からず、具体的な演習は味わえてもそれをコンセプト、概念として中々捉えきれずにいた。すなわち、身体という実体で一時的には味わうことが出来ても、その再現性はなく、頭の主体による抽象的概念までは発展させられずにいた。

 しかし、この認知思考循環システムを自分なりに再発見し、システムとして再構築してからはその概念を概念として捉えられる抽象力(コンセプト力)がついて来たようだ。

 それで、それまで漠然とした違いの「成長サイクル」と「習熟サイクル」もクリアーに区別され明快にスッキリし、練と習という練習の意味もシンプルながらしっかりと実感されて来た。

 また、運動、行動の失敗のメカニズムを、高次脳機能障害の観念運動失行という観点から、この認知運動循環システムで再構築し直し、失敗するノウハウがしっかり理解された。当然、その逆の成功するためのメカニズムも明確に概念化することが可能となった。

 そして、さらに今回、達人の認知モードも、自然体という観点から見直して見て、3段階に設定出来ることが理解され、認知思考循環システムズ図で表現してみた。表現(アウトプット)することにより、その人間の活動メカニズムがより明確になり、さらに理解とその応用が出来やすくなった。それが以下の未人運動モードと達人認知モードを大別し、さらに認知モードを3ステップで表した新たな未来認知思考循環システム図である。

 特徴は記憶を思考の素材として過去記憶と未来を開くための記憶としての知識(未来記憶)とに分けたことと、記憶と認知の双方向性は認めても、システム全体としての一方通行という概念は崩さなかったことである。すなわち、従来の循環システムを包含するというか、包含されるというか、ただ、認知のプロセスをより詳細にしたものである。

 そこまで解明されて、はじめてたった一言の「で?」の意味も見え、理解された。

これまで、何回も結果の受動的「で?」には、お世話になって来ていたが、目的、出発の積極的「で?」にやっと出会えた。

 

 そして、思考の三点セットの【現状認知】、【目的認知】、【目標認知】の位置づけ、意味づけ、関係性、構造が明確になる中、

さらに、その理解には具象から抽象へというコンセプチュアルスキルとしての「認知抽象思考問題解決システム」がある。

本質的には同じシステムであるが、どの観点からこの「未来認知思考循環システム」を見て、切り取っているかの違いと言えばそれまでである。同じ思考システムを違う観点から表現し、図示した物である。

すなわち、【現状という具象、具体的な事象、イベントを抽象化して思う【現状認知】(問題発見)し、質的転換を図り、未来の抽象【目的】(問題定義)を考え、そして今度は具象化して【目標】とし、さらに具体的な方法、手段に具体化する(問題解決)するシステムでもある。即ち「不足]→[知足]→[充足]→[満足]であり、[具象]→[抽象化]→[抽象]→[具象化]→[具象]システムでもある。

 その中で、物のあふれた物質的欲求が満たされた物質文明の今、何が一番不足しているのか?

新型コロナの閉塞感満載の中でも、結局は何が一番不足しているのか?

マズローの欲求5段階説の社会的欲求すなわち所属と愛情はある限定された空間に限定されている状態で、その中でも不足しているのは承認欲求即ち自尊欲求であろう。

もちろん、仕事が無くなり、生活が困窮してきたら、生理的欲求、安全の欲求の比重が高くなるのは当然のことで有り、その欲求も二局化して行くだろう。身近でも、世界の情勢でも。

二極化し、ダブルバインドでますます身動きできなくなって行く。

 幸いにも安全欲求が満たされている人の場合は、自分自身を認めてもらいたい、我を通したい、我を張りたい。思い通りにしたいという我が、自分の身近な所でも、圧迫、凝縮されそのエネルギーの発露が、世界の政治でもさらに明らかにされ、跋扈(ばっこ)しているものと考える。

 が、しかし、ここでやはり思考し考えるべきことは確かに我を通したいが我を通せば通すほど、それは後々自分に返ってくる。

我ではなく和であり、中庸の中の我で、承認し、受容し、優愛してこそ我も通せ、満足することになる。

 未来創造認知思考循環システムを今こそ、自分という実体を通してその自分の主体がきちんと働かせて行かないと行けない時代で有り、そのシステムをスムーズに稼働させるよい練習の場であると認識する。思考システムの構築は目的では無い、そのシステムを活かし、自らの未来を開くのが、自分の使命で有り、ミッションで有り、そのためには身の回りの人達から学びつつ練習させて貰い、その人達の未来を開くきっかけにもなる。その視点としては、自分基準も必要であるが、他人基準もそして、自他調和基準も必要となる。

 それでこその達人か!

 

そのためにも概念、言葉は大事で有り、それにより形成される思考が人間活動の全て!

                 思考100%